“梅乙女“、“黒部の妖精“、“林檎の小径“、“深山の雫“、”鳴き龍”
ポエティックなネーミングと手作りの菓子ラベル。正直で素朴なたたずまいとやさしい味。
これらのお菓子を作っているのは大町市駅前商店街で大正5年からお店を構える(喜)立田屋の3代目ご主人の丸山直人さん(74歳)。
そば粉100%のそば饅頭や大きな栗が入った上品な甘さの栗饅頭、独創的な焼き菓子やクッキーなどを20種類以上、全てひとりで作っている。
先日、いつも気になっていたお菓子の名前について思い切って聞いてみた。
どれもご主人が名付け親だそうで
名前の由来を聞くと、お菓子を作りながらイメージで「ふと、思いつく」、と照れながら話してくれた。
10年前までは餅菓子も作っていたそう。昔は柏餅など硬くなったら家で焼いたり蒸したりして食べたけれど今はしなくなり、でも日持ちさせるための添加物は一切使いたくないと餅菓子から焼き菓子や練り菓子へ切り替えたという。
「人間は身体がなにより大事。だから体に悪いものは一切使わない。」
優しい笑顔の中で、お菓子へのこだわりの話になるときりっと職人の顔になる。
「そして、水がいい。蛇口をひねるとほぼ湧水に近い水が出てくる町はほかにないからね」
都会では高度な浄水処理が当たり前のため、少し信じられない話だが、実際に大町の水道水は山の水源からの湧き水が最低限の処理で水道管を流れているのだ。
素材と水を活かしたここのお菓子はどれもやさしい味がする理由に納得。その実直な人柄がお菓子の味とたたずまいに出ている。
(喜)立田屋
長野県大町市仁科町3312
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